ヌルデの実

ウルシの仲間です。
ヌルデ(白膠木)
幹を傷つけると、白い漆液を出しヌルヌルするのでヌルデ。あるいは漆液を塗料(ヌテ)とするのでこの名前があります。
山野に普通に生え、特に林縁部に多い。典型的な陽樹(明るい場所を好む樹)で、いわゆる先駆植物と呼ばれるものです。後発のより大きい樹木が育ってきて、陽が当たらなくなると枯れてしまいます。
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◇科名:ウルシ科 ◇属名:ウルシ属※ヌルデ属(Rhus=ウルシ属の木を指すギリシア語から ◇学名:Rhus javanica ver.roxburghii(javanica=インドネシア、ジャワの /roxburghii=18~19世紀のイギリス人植物学者の名から)
雌雄異株。樹高は5-6mほどの小高木なのですが、10m以上の大木になることもあります。
秋には直径5-8mmほどの扁平な球形をした果実をつけます。
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果実の表面にあらわれる白い粉のようなものはリンゴ酸カルシウムの結晶で、熟した果実を口に含むと塩味が感じられます。
幹や枝は、斜上し太く樹皮は灰褐色で、皮目が多いです。
幹を傷つけると出る液は、普通はウルシのようにかぶれることは少ないようですが、肌の敏感な人は注意。
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葉は互生し、奇数羽状複葉で小葉は3~6対。小葉は長楕円形または卵状長楕円形で、無柄、縁は粗い鋸歯があります。
小葉の間の葉軸に、翼があるのが本種の特徴ですが、翼の無い変異もたまにあります。
ウルシ科の樹は秋に美しく紅葉する樹木の代表的なものですね。

別名はフシノキ で、生薬の付子がとれる木の意。中国では五倍子と書いて、産業としてタンニンを大いに産出しています。日本では「ゴバイシ」あるいは「フシ」。医薬品、インクや染料の原料、革なめし用などいろいろ使われます。実などにタンニンを含むため、ヌルデミミフシの代用に使われた樹に、「フシ」の名のつくものがありますね。《キブシ》《ヤシャブシ》などです。
葉に瘤の様なものが出来る時がありますが、これがヌルデミミフシと呼ばれて、葉軸の翼に、アブラムシの1種が寄生してできる、袋状の虫こぶです。この袋状物質には、タンニンが50~70%含まれていて、染色に用いられます。袋の形状が異なる虫こぶもあります。
*もう一つの別名がカチノキ(勝の木)で、聖徳太子蘇我馬子物部守屋の戦いに際し、ヌルデの木で仏像を作り、馬子の戦勝を祈願したとの伝承から。