ヒヨドリジョウゴ

赤く色づいた実が目立つ時期になると、コレは何の実なんだ?ということが多くなるかも知れませんね~( ̄▽ ̄)
樹木や葉っぱの残っている草本ならば、木の樹皮や、葉っぱの形で判断することになりますが…

イメージ 2

コレだけでは分かりづらい。似たような実が幾つもあるからね。
花が咲いてれば…どうかな?

イメージ 3

===《ヒヨドリジョウゴ 鵯上戸》===
北海道から沖縄にかけて分布し、林の縁や山道などに生える蔓性の多年草。長い葉柄で他の草などにからみついて伸びますが、実際には葉柄なのでツルはありません。
名前にヒヨドリと付くものには『ヒヨドリバナ』や『ヨツバヒヨドリ』などありますが、これはナス科で、『ワルナスビ』や『イヌホウズキ』の仲間ですね。花も似ています。
《◇科名:茄子科 ◇属名:ナス属(Solanum=ソラナム。ラテン古名の「solamen=安静」が語源。この属の植物に鎮痛作用を持つものがあることから ◇学名:Solanum lyratum(lyratum=頭大サイズの羽裂の》

イメージ 5

葉は卵形で互生し、下部の葉は3つから5つに深く裂けます。

イメージ 4

葉と向き合って、疎らに小さな白い集散花序をつけます(*最初の花が枝先について、その下に次々と側枝を出して花がつきます)。
花冠は5つ裂けて反り返ります。雄蘂は雌蘂の周りを筒状に取り囲むように並びます。
花の後にできる実は、直径は1センチに満たない球形の果皮が肉質で液汁が多い液果で、緑色から赤く熟します。
コチラがヒヨドリジョウゴの赤く色づいた実

イメージ 1

漢名では『白英(はくえい)』と言い、全草を乾燥したものを生薬名で白毛藤(パイマオティン)と呼び、解毒・解熱・利尿に用い、またガンや急性黄疸型肝炎の治療に用いていますが、神経毒であるソラニンを含むので食べるのは危険です。
和名が「ヒヨドリが好んで食べることから名前にヒヨドリで、赤い果実を酒飲み(上戸)の赤ら顔に見立てた、という説がありますが、実際は毒がある実ですから、そんな事はないでしょう。
古書『本草和名(ほんぞうわみょう・918)』には、和名に古名ホロシ、福島地方の方言としてツヅラゴの名で記述があります。 江戸時代までは『ホロシ(保呂之)』と呼ばれていたようです。この仲間には『ヤマホロシ』や『マルバノホロシ』があり『ホロシ』の名が残っていますね。しかし『ホロシ』の名の由来はよくわかっていません。園芸店で『ヤマホロシ』として売られているのは実際は殆どが『ツルハナナス』(http://blogs.yahoo.co.jp/chameleon_arms/45464864.html←記事)で、『ヤマホロシ』ではありません。
江戸時代に貝原益軒によって編纂された『大和本草』にはヒヨドリジョウゴの名が現れています。
万葉集では『呼子鳥』と詠われているのがヒヨドリだとも言われています。呼子鳥(よぶこどり)は、一説にはカッコウのことともいわれていますが、どちらともはっきりとはしていません。
☆原文: 旦霧 八重山越而 喚孤鳥 吟八汝来 屋戸母不有九二 作者: 不明☆
♪よみ: 朝霧の 八重山越えて 呼子鳥 鳴きや汝(な)が来る 宿もあらなくに
■意味: 朝霧の、いくつもの山を越えて、呼子鳥よ、鳴いて君は来るのかい。ここにはとまる木もないのに。