アオイスミレ

スミレが顔を出し始めました。
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これは『アオイスミレ』ですね。名前は葉の形がふたば葵に似ていることに因んだものです。スミレ属のなかで目だって花期の早いもののひとつです。ソメイヨシノなどの普通の桜のつぼみもまだ堅いうちに咲き始めます。
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落葉樹林の縁など半陰地に群生する多年草で、地上茎はあるのですが、『タチツボスミレ』のように縦には伸びず横に這うように伸びていきます。  花期はスミレの仲間では最も早く3月から4月頃。 花はほとんど白色または淡紫色。 花期の葉は両側が巻いています。
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距は太くずんぐりしていて、でこぼこしています。
雌しべの花柱の先がカギ型に曲がる(花の似たタチツボスミレの柱頭はほぼまっすぐ)。 似た柱頭を持つものはエゾアオイスミレとイブキスミレくらいですね。
ちょっと見には『タチツボスミレ』に似ていますが、全くちがうグループです。
毛が多く匐枝があることで見わけられますが、じっくりと観察すれば、花の咲き方もずいぶん違いがあることが判ります。
アオイスミレの方が花立ちが悪く、葉の上に花をのせるように咲いて、また花弁が波うちすっきり開かないことが多いようです。花にはよい香りがあります。
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タチツボスミレの柱頭はほぼまっすぐで先端がふくらみも曲がりもしないのですが、アオイスミレの仲間は先端が、かぎ状に曲がります。こういう柱頭を持つ種は日本にはほかに『エゾアオイスミレ』と『イブキスミレ』ぐらいしかないのですが、ヨーロッパにはニオイスミレをはじめ、このグループの種類が多いと言う事です。
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スミレの仲間は種子を弾き飛ばす仕組みを持っているものが多いですが、この『アオイスミレ』はエライオソームに惹かれたアリに、種子を散布してもらう事で増えていきます。
エライオソームとは「アリを誘引する物質」を含んだ種子の付属体のことです。
このような植物をアリ散布植物と呼んでいます。スミレ属の他にも、イチリンソウ属、フクジュソウ属、ミスミソウ属、キケマン属、クサノオウ属、エンレイソウ属、カタクリ属などに200種類くらいはあるとおもいます。
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葉っぱは、葉円心形で先が円く、托葉の縁に毛があります。種子は半透明でぜりー状のエライオソームを付けています。
※よく似た『エゾアオイスミレ』は匐枝がなく葉先がとがるものが多いようです。アオイスミレよりも標高の高いところか北の地方で生育しています。