イヌノフグリとオオイヌノフグリ

春の陽気が続いて暑いくらいです。
今の時期ので見られる野草の代表が『オオイヌノフグリ』や『ホトケノザ』『ヒメオドリコソウ』です。その中でも『オオイヌノフグリ』は本当に何処でも見かける野草です。『オオイヌノフグリ』は『イヌノフグリ』という花より大きいので、この名前がついています。大きな犬の○○○ではありません(笑)。
コレが『オオイヌノフグリ』ですね。
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オオイヌノフグリ 大犬の陰嚢
脇道にも野原でも石垣の間からでも顔を出して周りを瑠璃色で敷きつめます。
ジックリ近寄ってみればカワイイ花です。
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それでは『オオイヌノフグリ』があるのならば『イヌノフグリ』はどんな花かというと…コレが滅多に…と言うか殆ど見かけないんですよね。実際『絶滅危惧種』です。
という事で『イヌノフグリ』探しに行ってきましたよ。勿論やみくもに行っても見つかるはずがないので、以前見かけた所に出ているかどうか…♪
ありましたよ~~~♪こちらが『イヌノフグリ』です。
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イヌノフグリ 犬の陰嚢
花の大きさは3mmほどしかありません。曇り空だと、花が開ききらないので、更に見つけにくいです。
両方の花に一円玉を横に置いてみたので、大きさの比較にしてくださいね。どうです( ̄∀ ̄)小さいでしょ。
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花の色はじっくりと覗き込めばわかるのですが、ピンク色をしています。
茎は横に這うので、他の背の高い草が周りにあると、隠れてしまい見つけにくいです。
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ところで『イヌノフグリ』漢字だと『犬の陰嚢』ですよね。よりによってあまりと言えばあまりなネーミングの野草としては一番有名でしょう。
これは実の形からついた名前ですが、実より印象的な花から名前が付いてよさそうなものです。現に、英名で?b>『Bird's eye』
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しかし普段何処にでも見かける事が出来るのは『オオイヌノフグリ』です。
本来日本に自生している『イヌノフグリ』は現在では外来種である『オオイヌノフグリ』に圧倒されてほとんど見かけません。
*この仲間の『フラサバ草』も、ホントにときたま見かけますね。全体に毛が生えています。小さな花で、葉っぱが少しクローバーのような形をしています。
『コゴメイヌノフグリ(小米犬の陰嚢)』も『オオイヌノフグリ』と同様に外来種で、アチコチに広がっています。白い4弁花で、 茎葉は段々状になっています。『小石川植物園』の群生が有名です。
他にも仲間には『タチイヌノフグリ(立ち犬の陰嚢)』がありますね。名前の通り、横に這わずに立ち上がって伸びます。『タチイヌノフグリ』は、花の大きさが5mmくらいです。オオイヌノフグリと同じくルリ色の花。ですが、あまり見かけませんね。
オオイヌノフグリ』は、花の大きさは8mmほどで、この仲間では一番大きいです。花の色はルリ色で、何処でもごく普通に見られます。
以前記事にしています→『オオイヌノフグリ』この記事で説明してますが、日本での別名はカワイイものです。
一つは『ヒョウタングサ(瓢箪草)』というものですが、もう一つは…『ホシノヒトミ(星の瞳)』コッチの名前を流通させればいいのにね。

ところで『イヌノフグリ』が絶滅が心配されるほど減ってしまった理由としては、先ずは生えられる環境でしょうね。舗装してない道路脇の柔らかい土とか、石垣の間の土などが少なくなったのが第一でしょうね。その反対に『オオイヌノフグリ』は、イヌノフグリやフラサバソウに比べて茎が立ち上がる性質が強く、低めの草地でも他の草と競り合ことができると言うのが繁殖した要因の一つでしょうね。
それに『オオイヌノフグリ』は、細くて長い花柄も受粉/授粉の役に立っているそうです。
虫が花に止まると重みで花柄が曲がり花は下を向きます。虫は落ちまいとしてあわてて雄蘂と雌蘂にしがみつくので、そのとき花粉がたっぷり付着すると言うように、きわめて巧妙な仕組みになっているのです。
また『イヌノフグリ』の花期が3月から4月なのに対して『オオイヌノフグリ』はご存じのようにもっと長い間咲きますよね。場所によっては1月に咲いていることさえあります。
更に、更に…『オオイヌノフグリ』が決定的に有利な点がもう一つあるのです。
それは…虫による他花受粉だけでなく、自花受粉も行うことです。
夕方になると開いていた2本のおしべが閉じてめしべに花粉を付けるのです。コレなら確実な方法です。

しかし『イヌノフグリ』の場合は、雌蘂が雄蘂より長いので、自花受粉はありません。他花受粉しかしないのです。昆虫に見つけて貰わなければいけません。
この場所のように、周りに背の高い野草が無く、少しだけでも群生していればねー。