弟切草

昨日の前記事が《ミズオトギリ》だったので、今日はコチラです。

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==《オトギリソウ》==
夏から秋にかけての分枝の先に黄色の円錐花序をつけ、日没時にはしぼんでしまう一日花。
日本全国、樺太南部・朝鮮にも分布する多年草。ススキ草原や林縁などの草地に生育しています。
茎は高さ50cmほどで、円柱状で、上の方で分枝しています。夏に直径2cmほどの黄色い花を付けます。

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【◇科名:オトギリソウ科 ◇属名:オトギリソウ属(Hypericum=ヒペリカム古代ギリシャ名「hypericon=「hyp=上」+「eikon=像」が語源」に因む名。悪魔よけの像の上にこの花が置かれていたことに由来。またはギリシャ語「hypo=下に」+「erice=草叢】が語源とも云われます ◇/学名:Hypericum erectum|(erectus=直立した)】
生薬としても知られています。生薬名は『小連翹(しょうれんぎょう)』。止血・傷薬などに薬効があるとされ、民間薬として使われます。

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この花の特徴として、花弁・顎には黒点と黒線がはいります。この変わった和名は、秘伝の薬草の名前を他人に漏らしてしまった弟を兄が切った時の返り血がこの黒点であるとの意味なのです。
葉の基部は対生する両葉が茎を抱くように接しています。

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葉は対生し、葉柄は無く披針形(先端に至るほど幅が狭くなる)で、先は丸みをおびていて、黒点が目立ち特に縁には多く見られます。

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長さ2~6センチ、巾7~20ミリ程。葉縁は全縁で、葉を透かして見ると黒点のこまかい油点が散在しています。
花弁は5枚、長さ8~10ミリで、花柱は3。大きさは3.5~4ミリで萼片は5枚。

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花後に出来る果実は朔果で、卵形で長さは3~10ミリで3室からなっていて、中にはこまかい種子がつまっています。
オトギリソウの仲間は、葉や花などに腺体があって、これがこの仲間の重要な区別点となっています。この腺体に色素が含まれている場合には黒点といって、またこれが連なると黒線、色素を含まない場合には透かすと明るく見えるので明点といいます。
亜高山、高山地域に自生してるのは『イワオトギリ』で、本州の中部地域の亜高山~高山に自生するのが『シナノオトギリ』。ヨーロッパ原産の種は『セイヨウオトギリソウ/セント・ジョーンズ・ワート』と言います。
以前に別blogなどでも、園芸品種でアチコチの植え込みに見られる『キンシバイ(金糸梅)』や『ビヨウヤナギ(美容柳/未央柳)』を記事アップしています。

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コレは金糸梅の園芸種で『ヒドコート』

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『未央(びよう)柳』

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『小坊主弟切』

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『トモエソウ』花の形が巴の花弁。
『イワオトギリ』が高山種で、『コオトギリ』が亜高山なのに比べて、この『オトギリソウ』や『サワオトギリ』は低い山地や平地にも自生します。また外来種の『セイヨウオトギリ』の成分に、毛髪の成長促進効果があることが発見され、脚光を浴びるようになりました。
生薬の『小連翹(しょうれんぎょう)』についてですが、一応記述があったので紹介しておきます。
:全草を8~10月の果実が成熟するころ刈り採り、天日で干して乾燥させます。 月経不順や鎮痛剤として用いる場合には、小連翹を刻み、1回量2~4グラムに、水0.3リットルを加えて、煎じながら約半量まで煮詰めたものをこして、服用します。外用には必要時に適量の生葉を採取して用い、民間での創傷、打撲傷には、新鮮な葉からしぼり汁を取り、傷に塗布します。 又、小連翹を刻み10~20グラムに、水0.3リットルを加えて約30分煎じて、その煎液で患部を湿布します。浴剤としてもリューマチ、神経痛、痛風などの鎮痛に効き目があるとされます。但し…オトギリソウには、成分としてタンニンが多く含まれていますが、特有なものとして黒紫色素のヒペリシンが知られています。ヒペリシンは紫外線を強く吸収して、生体内における光化学反応を異常に促進するものです。:
※オトギリソウを食べた牛や馬が太陽光線に当たると、強い皮膚炎を起こし、脱毛しますが、これがヒペリシンの作用と考えられます。