ホオノキ

この一つ前の異記事が『ヒメタイサンボク』でしたが、同じ頃に咲きますが、花はヒメタイサンボクと比べて、ず~~と大きな花を咲かせます。
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ホオノキ(朴の木)
直径が15cm以上にもなる大きな白い花は、初夏の新緑の中でとても目立ちますね。
樹高は高さ20m以上、直径1mに達するものもあります。
ホオノキは日本の樹木の中では花も葉も最も大きい植物。
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葉は枝の先に、輪生状に互生します。花だけでなく、葉も倒卵形で非常に大きいですね。縁は全縁で波状になります。
古来、食品を包むのに使われました。
集合果は長楕円形で、熟すと多数の袋果の中から赤い種子が糸で垂れ下がります。
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花は今頃から6月にかけて、枝の先に上向きに付きます。背が高く育った木だと花が見えにくいのですが…。
とてもよい芳香があります。花弁は6~9枚。
初めは白色ですがこのあと黄変します。
ホオノキの花は、雌性先熟性で、開花後は雌性ですが、翌日には雄性になって、さらに翌日には生殖機能を失うのです。
◇科名:モクレン科 ◇属名:モクレン属(Magnolia=マグノリアは18世紀のフランスの Montpellier(モンペリエー)の植物学教授「Pierre Magnol(1738~1815)」の名前から ◇学名:Magnolia obovata(=倒卵形の)葉の形から
別名を『ホオガシワ』と言いますが、こちらが元の名ですね。カシワは食物を盛る大型の葉炊葉(かしきは)が語源です。ホオ包(ホウ)の意、あるいは中国の厚朴(ホウポ)の音が転じたとの説もありますが詳細は不明です。
ホオノキと言えば、下駄の歯を真っ先に思い浮かべるかもしれませんが、実際は建築・器具・楽器・彫刻・船舶材、版木と幅広く用いられています。
樹皮は灰白色で裂け目は無く皮目が散生します。材が柔らかく加工がしやすいためいろいろと利用されます。下駄の歯や家具の引きだしや版木の他にも刀の鞘などもホオノキが使われています。
我が背子が 捧げて持てる ほほがしは あたかも似るか 青き蓋/ 僧(ほうし)恵行(えぎょう)」
原文:吾勢故我 捧而持流 保寶我之婆 安多可毛似加 青盖
意味>あなたが持っていらっしゃる「ほほがしは」は、まるで青い蓋のようですね。
「我が背子(せこ)」といっているのは大伴家持のことです。「蓋(きぬがさ)」は、貴人などに背後から差し掛ける、柄の長い絹張りの傘
*作者の恵行は生没年未詳なのですが、この歌は天平勝宝二年(750)四月、大伴家持と宴に同席した折に、歌を贈答した、とあります。この時「講師」と記されており、当時「講師」というのは、おもに東大寺関係の僧侶でした。華厳経など特定の経典の講義のため任命された僧官らしいということです。

冬芽や枝を折っても良い香りがします。今度は大伴家持の歌を。
皇祖の遠御代御代は い重き折り 酒飲みきといふぞ このほほがしは/大伴家持
原文:皇神祖之 遠御代三世波 射布折 酒飲等伊布曽 此保寶我之波
5月29日の誕生花で花言葉は『誠意ある友情』