シュッコンソバ

シュッコンソバ 宿根蕎麦
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一般的に知られている名は赤地利蕎麦(シャクチリソバ)です。原産地は北インドから中国にかけた地域で、根茎を生薬で『赤地利』といって、元々は明治以降に解熱解毒の薬用植物として中国から導入され、昭和初期から高血圧症や、脳出血の治療薬のルチンの抽出原料として栽培されたのですが、現在では林縁や川沿いなどの半日陰地に野生化しているのが普通になりました。因みに、最初に植えられたのは小石川植物園です。
◇科名:タデ科 ◇属名:ソバ属(Fagopyrum=ラテン名「Fagus=ブナ」+「ギリシャ名 pyros=小麦,穀物」 三稜を持つ果実がブナの実に似ていることから) ◇学名:Fagopyrum cymosum(cymosus=集散花序の)
和名の由来は、茎の根元が赤いことから。別名がタイトルである『宿根蕎麦(シュッコンソバ)』で、これは、日本産の『蕎麦(ソバ)』と異なり、多年草であることから。
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原産地では作物としても栽培もされているようで、中国では、葉や茎が家畜の飼料とされているようです。日本の蕎麦ほど美味しくはないようですが、食べられます。まぁ仲間の『韃靼(ダッタン)蕎麦』も苦蕎麦と呼ばれるくらいですが、ちゃんと蕎麦として売られ柄いますからね。

草丈は50センチから100センチくらいで、葉は葉身は長さ8~15cmになり、三角形でつけ根の部分が横にはり出し、互生につきます。裏面の脈上に短毛がありますが、表面は無毛。
ソバは花序近くの葉は茎を抱くのですが、シャクチリソバは明らかな葉柄を持っています。つけ根の部分には鞘状の托葉(托葉鞘という)があります。これはタデ科の特徴ですね。
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開花時期は、9月から11月で、茎の上部の葉の脇から花柄を出して2つから3つに枝分かれをし、蕎麦(ソバ)に似た白い小花を数個つけます。上部の葉腋から花柄を伸ばし、いくつかに分岐して、花穂状の花序をつけます。
花には花弁がなく、花弁のように見えるのは、5個に深裂した白色の萼片。

花びらのように見えるのは5枚の萼片で、真ん中には8本の雄蘂と、3本の花柱(雌蘂)に、8個の蜜腺があります。

地下に肥大した塊茎があり、多数の茎が群がって生えます。茎は立つ他、横にも這いながら不定根を出して広がり、根付いて新しい塊茎ができていきます。
茎は中空で無毛、下部は淡紅色~緑色で上部は緑色。 冬は地上部の茎葉は枯れてしまいますが、塊根状の地下茎となって冬を越し、春になると地下茎から新しい芽が出てきます。

シュッコンソバ(シャクチリソバ)
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コチラが普通の…と言うか、本来の日本のソバの花
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果実は痩果(そうか)で、ソバとよく似た底面が三角形をした鋭い3稜形をしています。
大きさはソバよりやや大きく8~10mm位ある。熟すとソバは黒褐色になりますが、シャクチリソバは栗褐色。
因みに、和名は牧野富太郎博士が本草綱目の漢名「赤地利」に当たるとして命名したものです。本草綱目は中国の代表的な漢方薬草の解説書で、明代の16世紀末に刊行されました。
本来の「赤地利」とは、タデ属の標準漢名「火炭母草」の別名です。学名がPolygonum chinenseまたは変種P. chinense var. thunbergianumのこと。英名が『Chinese knotweed』といって、和名を『ツルソバ』と言います。
これが→『ツルソバ』記事
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ついでなので他の蕎麦と名前に付く花を…。
『棘蕎麦/トゲソバ』一般的な名前はママコノシリヌグイ
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よく似ていますが…名前に蕎麦とつくけど…コチラは『ミゾソバ
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