シロネとコマツナギとハエドクソウ

和名の由来は文字通り、太くて白い地下茎があることからきています。
しかし花はホントに目立たないので気づく人は少ないと思います。雑草にしか見えないと思います。
植物園にあったとしても…先ず、まとまって植えてあるなんて事もないですね。名前プレートがついていても見過ごす人が多いでしょう。

シロネ	白根

朝鮮半島,台湾から,中国の他、東シベリアや北アメリカなどにも分布しています。開花時期は８月から１０月。花の色や花の大きさは別にして、花の付き方と葉っぱの見た目が『メハジキ』のような感じですね。メハジキくらいに何処にでも生育してればもっと目立つのですが(笑)。まぁ、メハジキとは花の大きさも全然違いますからね～。

◇科名：シソ科　◇属名：シロネ属(Lycopus＝ギリシャ語の｢lycos＝オオカミ｣＋｢pous＝足｣から。葉の形を狼の足にたとえて名づけられたもの　◇学名：Lycopus lucidus(lucidus＝強い光沢のあるという意味)

茎の断面は四角形をしています。葉は細長い楕円形で向かい合って生える対生で,縁には鋭い鋸歯があります。硬くて先は尖り、艶があります。離れたところからだとホントに目立ちませんが､葉の脇ごとに白い花を密集してつけます。花はシソ科の特徴を表していて､上唇と下唇がある唇形をしています。

上唇は先が浅く２つに裂けていて､下唇は深く３つに裂けます。萼は５つに中裂し、裂片は刺状で先が鋭く尖ります。
花の後にできる実は複数の子房からできた分果で、４つのブロックから出来ています。

こちらは草のようにしか見えませんが､実は木本なのです。落葉小低木で、マメ科の植物。以前に桜の書庫で『コマツナギ』という品種を記事にしてますが､コチラは品種名ではなく、この植物の名前です。
　

コマツナギ	駒繋ぎ

馬を繋げるほど丈夫なことからこの名前がありますが、樹高はせいぜい0.4～0.8ｍで､茎も細いのです。
ホントにコレで馬をつなげるのか？と思われますが…。

◇科名：マメ科　◇属名：コマツナギ属(Indigofera＝インディゴフェラ。同じラテン語の｢indigo＝藍｣＋｢fero＝持つ｣が語源。藍の色素を持つと言う意味。藍染の染料がとれたから　◇学名：Indigofera pseudotinctoria(pseudotinctoria＝tinctoria属に似た)

いかにも豆科という葉ですね。遠くから見ると､見た目は萩に似ています。
葉は奇数は羽状複葉で､小葉は７～１３枚。葉身は長楕円形をしていて長さは0.8～1.5ｃｍ。

葉腋に長さ４～１０ｃｍの総状の花序を出します。花は淡紅紫色で長さ４～５ｍｍ。花はやや密につきます。
花後に出来る豆果は長さ2.5～3ｃｍで熟すと黒くなります。
※最近では道路脇に道路緑化などのために植えられている中国などの『唐駒繋ぎトウコマツナギ(Indigofera bungeana)』を見かける様になりました。コチラだと高さは2ｍ以上に成長し、花期は5月～9月。

日本・ヒマラヤ・東アジアなどに分布する多年草です。５～８月にかけて薄暗い林間に生えます。
今の時期アチコチで見かけますね。目立たない花ですが、淡紅色の唇形の花を穂状につけます。

ハエドクソウ	蝿毒草

この変わった名前は根の絞り汁をはえ取り紙に使ったことから。この花の根がハエを捕る薬剤に使われるのです。全草が有毒。
褐色の粘着液を塗ったハエ取り紙って見たことありますか？あの粘着液が、根から取れるというのが、ハエドクソウです。別名は『ハエトリソウ』。
あ…北アメリカ原産の『ハエ取り草』とは違いますよ。
あちらは食虫植物で氈苔(もうせんごけ）科です。

葉は卵形で十字型に対生します。林の中など日の当たらない場所に育つ野草です。葉が長く大きいものは『ナガバハエドクソウ』。
花は２唇の可愛い花。少し暗いところに咲くので､見過ごしちゃいそうなくらいです。草丈は６０cmくらい。
蕾は上向きにつきますが、花が咲くと横向きになります。

実(み)は下に向いてつき､『ヒナタイノコヅチ』や『ヤナギイノコヅチ』などと同じように、種の先に鉤があります。この鉤が人の衣服や動物の毛について、運ばれていき増えていきます。

◇科名：はえどくそう科　◇属名：はえどくそう属(Phryma＝語源不明。アメリカインディアンの土名とも云われています　◇学名：Phryma leptostachya(leptostachyus＝細い穂の)