タチツボスミレ

スミレはこの時期よく見かける野草です。たくさん顔を出すので、判別に困るのですが…(笑)
スミレ名のつくものは沢山ありますが、日本を代表するスミレがこの「タチツボスミレ」です。
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国外では朝鮮半島付近の島々に知られるのみで、分布上からも個体数からも日本を代表するスミレと言えます。但し学名上で「日本=japonica」と付くのは「コスミレ」です。ビオラジャポニカ(Viola japonica)つまり「日本のビオラ(スミレ)」となります。コスミレが学名上は日本の菫の代表ということになりますね。葉が長三角形で,裏面は紫色。もう一つが「アオイスミレ」です。学名は,ビオラ・ホンドエンシス(Viola hondoensis)。葉の形が「葵」に似ているのでこの名があります。
タチツボスミレ(立坪菫)
葉は始めは根出しますが、茎が伸びると葉もそこにつくようになります。
丸っこいハート形(心形)。葉にはあまり艶がありません。
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花期は3~5月。花茎は葉の間から出て立ち上がり、先端がうつむいて花を付けます。花は典型的なスミレの花の形ですがスミレより丸っこく、色は薄紫が普通です。
◇科名:スミレ科 ◇属名 : スミレ属(Violaceae) ◇学名:Viola grypoceras A. Gray(=ヴィオラは紫色という意味。グリポケラス種の=角のあると言う意味。角とは花にある細長い突起器官部分で"距(きょ)"の部分です。A. Grayは日本の温帯植物相を精力的に研究したハーバード大学のアーサー・グレイ(Asa Gray)のこと
スミレでは(唇弁)の基部が膨れるか、伸張して盲腸のように管の片方が開口していない管腔(盲管と言います)となって蜜を貯える部分にあたります。
名前の「立」は茎は地中では短いのですが、花の盛りを過ぎた頃に成長すると、茎が地表に伸びて立ち上がってくるところから。また「坪」は、道端や庭を意味しています。道端などの身近な所で見られることからツボスミレ。
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名前の説明で記したとおり、茎は地中では短く立ち上がっていません。花期が終わると葉の間から茎が伸び始めます。始めは斜めに出てきますが、それから立ち上がり、その茎の節々からも葉や花が出る。茎は高さ20cm程にまでなるが、年は越さず、次の春には、また地下茎から出発します。
タチツボスミレの仲間
エゾノタチツボスミレアイヌタチツボスミレ、アポイタチツボスミレオオタチツボスミレ、ニオイタチツボスミレ、イソスミレ、ナガハシスミレ(テングスミレなど
スミレの仲間を大別すると、地上茎のあるものと、 無いものに分けられますが、タチツボスミレは地上茎のあるものに属します。
意外にも食用にもなるようです。但し、葉はこわく、花だけを用いるようです。
スミレは世界に約350種が分布しますが、日本にはこのうち約50種が自生するのでスミレ王国と言えますね。
「山路きて 何やらゆかし すみれ草 (芭蕉)」
「春の野に 菫つみにと 来(こ)し我そ 野をなつかしみ 一夜寝にける( 山部赤人)」

3月2日の誕生花で花言葉は「慎ましい幸福」