カラスビシャク

古い時代に中国から帰化した史前帰化植物といわれ、日本各地に分布します。
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カラスビシャク 烏柄杓
畑の雑草として普通に見られる多年草。人間が使うひしゃくにしては小さいと言う事から烏柄杓ですが、烏はそもそも柄杓は使わないだろ…。
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マムシグサ』とか『コウライテンナンショウ』の仲間です。見た目には『ウラシマソウ』のように長いひげがあるのですが、ひげを入れても背丈は20~30cmと大きくはありません。
イメージ 4花序の中軸は仏炎苞の外へ伸び出し、苞から外へ出る部分では、仏炎苞の先端部分が付属体を抱きます。
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地下には指先程度の茎のかたまり(塊茎)があって、これは葉っぱを引っ張っても抜けずに地下に残ってしまうのが普通で、その為翌年も生えて来ちゃうンですね。畑にとっては厄介な雑草と言えます。

地下の塊茎からのびる長い葉柄の先に 3枚の小葉をつけます。
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仏炎苞内の付属体は暗紫色、そとに出てからは、緑色になります。 付属体が細長いところはウラシマソウに似ていますが、垂れ下がることはなく、伸び上がったままになります。
科名:サトイモ科 ◇属名:ハンゲ属 ◇学名:Pinellia ternata f.atropurpurea(ternata=「三つ揃いの」という意味。3枚の小葉から
仲間のマムシグサなどと比べると、かなりひ弱に見えますが(笑)、繁殖力は強くなかなか退治できない畑の害草。
雌雄異花の肉穂花序をつけます。緑色の仏炎苞の中は、肉穂花序(にくすいかじょ)の下部が仏炎苞(ぶつえんほう)と合着して、片側に子房がむき出しになった雌花が付きます。上部は仏炎苞から離生して、葯(やく)だけの雄花がびっしりと付きます。
別名は『ハンゲ(半夏)。『ハンゲショウ』と言うのがありますが、中国暦の七十二候の夏至から11日目、7月2日頃より5日間を半夏生と呼びます。この頃花を付けることから。
ムラサキハンゲ 紫半夏
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カラスビシャクの一品種。苞の内面が紫色のが特徴。カラスビシャクが日当たりがいい場所を好むのに対し、こちらはやや日陰を好むようで、林内などで見かけられることが多いようです。
よく似たオオハンゲもやや日陰の林内を好み、湿り気のある谷筋などに見られます。
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カラスビシャクは、種子や塊茎から増える他にも、小葉の基部や、葉柄にむかごをつけることでも繁殖をします。
生薬の半夏は、カラスビシャクの塊茎の外皮を除去するなどの加工をしたもので、生薬名は夏の半ばに花が咲くので半夏といいます。

昔、農家の主婦たちが畑のカラスビシャクを採り集めて売ったということから、ヘソクリという別名もあります。
一部にカラスビシャクの塊茎が、一部凹んでヘソのように見えることからヘソクリ(*クリは丸いものの意)といったと言うのもあります。まぁ、ヘソクリの語源については、諸説あるんですが、このカラスビシャクが語源というのがかなり強力(笑)なんですね。漢字で書くと『臍繰り』となって、ヘソの奥から繰り出してくるお金ということなのですが…「懐の奥のほうに隠し持った金」という意味になりますね。この言葉は江戸時代の中期には一般的な言葉になっていたらしく、かの井原西鶴の作品にも出てきます。※別の説で「ヘソ」は「臍」ではなく、布などを紡ぐときに使う麻糸などを機械にかける前の糸巻きで巻いた状態の「綜麻(へそ)」から来ているという説もあります。昔、貧しい農家などではおかみさんなどが、綜麻でせっせと糸を紡いで細かいお金を稼いだ事を指して言い出した言葉だという説なのですが、やはり農家の主婦の小遣と言うのは同じ。

こちらは『ユキモチソウ
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仏炎包中の肉穂花序が真っ白でなので、まるで雪の餅のような所から付いた名前。
姿も凛々しい感じなので、『ウラシマソウ』と同じく茶花としても人気があるようです。
本当の花は中の白い雪の餅のような肉穂花序の下に隠れています。
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◇科名:里芋科 ◇属名:テンナンショウ属(Arisaema=ギリシャ語の「血のような斑点が葉にある植物」という表現のことばに由来 ◇学名:Arisaema sikokianum(sikokianum=四国産の)
この地中の球根(球茎)から伸びた茎は本来の茎ではありません。本当は茎ではなく『葉鞘(ようしよう)』と言います。花茎の周囲は葉鞘に取り囲まれていて『偽茎(ギケイ)』と呼ばれています。地下茎から伸びた葉鞘が地上で何重にもなっていて茎にみえるもので、ミョウガの食用部分、ネギの食用部分の根元側の同心円になっている部分などの事です。本物の茎は地下にあり短い場合が多い。そこから葉柄が出て葉が展開し、葉柄の先から花茎が出ているンです。
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コレは雄花です。花序の下に穴が開いてれば雄花です。コチラが→以前の記事仏炎包は一枚の布を体の周りに巻きつけたような構造になっています。その一枚の布の合わせ目の一番下の部分に小さな隙間ができていて虫はそこから抜け出すことができます。
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雌花は隙間がないので…雄花の花粉を着けた虫は出ることが出来ません(怖)