テントウムシ

テントウムシは飛び立つ時、太陽(つまり…お天道さん)に向かって飛ぶことから天道虫と呼ばれています。
イメージ 4
テントウムシは、木の枝や葉の上でいるとよく目立ちます。しかも、天道虫の名に違わず、お天道様つまり、太陽のもと白昼堂々と枝や葉の上で歩き回っています。鳥などの格好の標的になりそうですが…ならない。
警戒色と言ってもコレは、アリや鳥に警戒させる為です。目立つ色で葉っぱの上を堂々と動き回っているのは、このことによります。毒はアルカロイド系で苦くて臭みがあり、足の関節から分泌されます。
テントウムシを捕まえると、足の関節から黄色い液が出てきますが、特有の臭いと苦みがあり、小鳥やアリなどはこの液を嫌います。それで、テントウムシは捕まって餌にされてしまわないのです。
イメージ 3
因みに英語ではladybug(レイディーバッグ)』ですが、『ladybird』とも言います。正確には『ladybug』は米語で『lady bird』の(可愛くない)変形とされています。又『lady bird』のladyは聖母マリアを指すと言われています。これは"Our Lady's Bird"が由来の原文とされていて、てんとう虫はあまりにも見た目が綺麗なので、聖母マリアと結びつけても良いだろう、との考えがあったそうです。birdは…飛ぶので、と言う事らしいですが。。。。。。
イメージ 1
因みにフランス語では【les betes du bon Dieu「良い神の動物」】 又は【les vaches de la Vierge 「聖処女の牛」】と呼ぶ事もあるそうです。ドイツ語では【Marienkaefer「マリアのカブトムシ」】と呼ぶ事もあるそうですが…。
イメージ 5
テントウムシには多くの種類があります。ヒメアカボシテントウは、4mmほどの小さなテントウムシで、黒地に赤い小さな紋を2つ付けています。体長10mmを越え、赤と黒の亀の甲のような紋があるたいへん大きなカメノコテントウ。カメノコテントウを小さくしたような、4mmほどのヒメカメノコテントウなど他にもたくさんの種がいます。。
イメージ 2
最も普通に見られるのがナミテントウです。ナミテントウは体長7mmほど、黒地に赤い2つの紋や4つの紋、赤地に黒の19紋、黒紋の全く無いものなど、これが同じ種なのかと驚くほど斑紋の変異があります。


さて…テントウムシ完全変態をする昆虫です。
完全変態というのは幼虫から成虫になるまでにサナギという過程を経るもので、テントウムシもサナギから成虫となります。
イメージ 6
テントウムシは、植物にとっては大切な養分を吸ってしまうアブラムシを食べてくれるのだから有益な昆虫といえますね。
イメージ 7コレは【ナミテントウ】の幼虫。
なんでも幼虫でさえ1日に約50匹を食べるらしいです。
ところがアブラムシの繁殖力は旺盛で、アブラムシたった1匹が、数ヶ月後には数億匹になるらしいのです。
もしテントウムシのようなアブラムシを食べる昆虫がいなければ、植物はあっという間にアブラムシに覆い尽くされて枯れ死してしまうことになりますね。
ナミテントウは遺伝的に飛翔能力を欠くようで、コレを逆にアブラムシ対策に使われることもあるようです。
イメージ 8
コチラが【ナナホシテントウ】の幼虫。
イメージ 9
紫っぽい灰色に黒い点と橙色の12個の紋が特徴。幼虫もアブラムシを食べますから益虫です。幼虫時代は食べるものがないと共食いをするそうです。
イメージ 10
終齢幼虫になると、蛹になるときは頭部を下にし、尻先を粘着液で固定しぶら下がります。
イメージ 11

イメージ 12

イメージ 13

イメージ 14
この姿から脱皮して蛹になります。皮がアコーデオンの様に後に送られて行きます。

さて…全てのテントウムシが益虫という訳ではないのですね。人間にとって益があるという意味のテントウムシは羽根に光沢があるのですが、葉を食べてしまう所謂、悪いテントウムシの仲間は羽根に光沢がなく、細かい毛のようなものに覆われています。【ニジュウヤホシテントウ】と【オオニジュウヤホシテントウ】です。この2種は益虫である肉食性のテントウムシと違って、ナスやジャガイモなどの葉を食害するため、別名「テントウムシダマシ」ともいわれています。
他にも【ヤマトアザミテントウ】などが食草種です。