キンラン・ギンラン

皇居東御苑で『キンラン』『ギンラン』が開花し始めました。
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『キンラン(金蘭)』『ギンラン(銀蘭)』は、日本の野生蘭のひとつで、同じキンラン属に属します。
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かっては雑木林の林下や、里山の林下の何処にでも見られた花だったのですが、今や絶滅を危惧される花になってしまっています。
原因は、雑木林の下草刈りをしなくなったことや、生育環境が悪化したりと言う事もありますが、後はお決まりの採取(盗掘)されてしまう為です。
しかし…ラン科の植物の多くは、地中の菌類 「菌根菌」 と呼ばれる菌類と共生する特殊な生育形態で、キンランの「外生菌根菌」は林下等の特殊な土壌にのみ生息するもので、この花を掘って持ち帰っても、家庭の庭に根づくことはまず…ないと思われますね。
採取(盗掘)が後を絶たないのは、この時期に咲く同じ地生蘭のひとつであるエビネと混同されてるためと思われます。環境省レッドリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されています。
まずはキンラン(金蘭)
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キンランの草丈は30センチから70センチくらいで、葉は長さ7センチくらいの披針形で、6枚くらいが互い違いに生える互生です。
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葉のつけ根は茎を抱くき、葉の先は鋭く尖って縦に粗いひだがあります。
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開花時期は6月くらいまでで、茎先に総状花序を出し、3輪から10輪くらいの花がつきます。
唇弁は上唇と下唇とに分かれ、上唇には赤い斑が入り、縦長の筋が入りますが、このコントラストが豪華な見た目でキンランというイメージに合いますね。下唇は浅い円錐状の距になっています。
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花の色は名前の通り鮮やかな黄色で、花径は2センチくらい。花は上向きにつき、平開せず半開します。花は下から上へと咲き上ります。
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花の後にできる実は、熟すると下部が裂け、種子が散布されるさく果です
花言葉は「華やかな美人」。
◇科名:蘭科 ◇属名:キンラン属(Cephalanthera=ギリシャ語の「cephalos=頭)」+「anthera=葯」から。ずい柱(雄しべと雌しべの融合したもの)の頭部にある大きな葯の形から名づけられたもの) 学名:Cephalanthera falcata(falcata=鎌状の)

さて『キンラン(金蘭)』は金色に輝く花の意味でキンランと名付けられてますが、『ギンラン』は花が白色なので、キンランに対してなづけられたものです。
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キンランに比べるとギンランは地味な感じがしますね。花もほとんど開かないです。
開花時期は4月から5月くらいまでです。
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ギンランの草丈は15センチから30センチくらいで、葉は長い楕円形で、3枚から6枚くらいが互い違いに生える互生。
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茎先に花径5ミリから7ミリくらいの白い小さな花を数輪つけます。
花は3枚ずつの白い萼片と白い花弁からなっていて、花は全開はせずに半開きのまま終わります。
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唇弁は3つに裂けて、真ん中の裂片は広い楕円形で短く尖り、唇弁のつけ根の部分は、花冠のつけ根が1、2ミリ後ろに飛び出た短い距になります。側花弁は幅の広い披針形で、萼片より短いです。
花の後にできる実はキンランと同じくさく果。
花言葉は「おとなしい貴婦人」
◇科名:蘭科 ◇属名:キンラン属(Cephalanthera=ギリシャ語の「cephalos=頭)」+「anthera=葯」から。ずい柱(雄しべと雌しべの融合したもの)の頭部にある大きな葯の形から名づけられたもの) 学名:Cephalanthera erecta(erecta=直立した、という意味)