カテンソウ

本州~九州の山野の木陰などに生え、高さ10~30cm。群生して生えることが多い野草です。
湿った川沿いや林の影に生え、光沢のある三角形の葉が目立つのですが、小さな小さな目立たない花を付けます。
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と言っても、花には見えないかもしれませんが、近寄ってアップで見れば…
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ほらね、白く見えるのが開花しているところです。…イヤ、正確には弾けたところと言うか....
カテンソウ 花点草
◇科名:イラクサ科  ◇属名:カテンソウ属(Nanocnide=「nano=小さな+「cnido=イラクサの仲間」) ◇学名:Nanocnide japonica
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コレは花が弾ける前です。
イラクサ科の植物は、普通は夏から秋に花を咲かせるものが多いのですが、カテンソウは春早く花を咲かせる小さな野草。
ウワバミソウ やサンショウソウ と同じく、花びらは無いのです。
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花が弾けきったところです。もう一つ開きかかってますね。
赤くなっているのはつぼみの状態です。
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同じ株に雄花と雌花を付け、上に出ているこの花が雄花です。尾花の花粉は小さくて、花も点のように見えるのでカテンソウ。雌花はすぐ下の葉が茎とつながる付け根につきます。カテンソウの雄花から放り出された花粉は、雌花(長さ1mm)に飛んできて受粉します。
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雌花は4枚の花被に覆われています。
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雌花序は柄がなく、葉腋にかたまってつきます。雌花の花被片は4個で、先端に剛毛があります。

その下の方にはかわいらしい天使の羽根のような2枚の托葉
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覗き込まなきゃ見えません(笑)
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葉は互生につき縁には粗い鋸歯があります。脈上などに粗い毛が目立ちます。
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雄花序は上部の葉の葉腋につき、長い柄があります。
風媒花のカテンソウは雄しべがピクンとはじける様に伸びる時に、小さく息をするようにフッと…花粉を飛ばします。
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雄花の花被片は5個、雄しべも5個あります。雄蘂は1本ずつ順番に外側へはじけるように伸び、その勢いで花粉を飛ばします。
面白いのはこの時で、1本ずつ順番にはじけていきます。5本全部がはじけると今度はすぼみはじめます。雄蘂の花糸はホースのようにくびれが入っています。
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その瞬間が見たくて、粘ってみたのですが…まぁオイラのポケットサイズのコンデジではその瞬間を収めることなンぞ出来っこないのですよ(泣)。
調べたところ、田中肇著「花と昆虫、不思議なだましあい発見記」(講談社によれば、カテンソウの花粉は風媒花の花粉の中でも半分以下に小さいと言う事らしいのですね。
何故かというと…花粉が小さいとそれだけ空中に長く留まっていられから。空中に長く留まってれば、背丈の低い花でも、風が少ししか吹かなくても雌花まで花粉が飛んでいけるのだそうです。

雌雄同株ですが、一部には雌雄異株のものと同株のものがあるらしいです。
果実はそう果で花被に包まれ、熟すと花被から落ちます。
別名:ヒシバカキドオシ(菱葉籬通)