ヒメカンスゲ

早春の散歩道の林縁などで、枯葉ばかりが目立つ頃に花を付けるため比較的目に付きます。と言ってもこれでは花には見えないかもしれませんが…。 
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あ…『ヒトリシズカ』も大きさは違いますが、こんな花でしたね。
因みにコチラが『ヒトリシズカ』←記事
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まぁ見間違えっこない花の大きさですけどね(笑)。

スゲはカヤツリグサ科の一つの属で、身近なものも多いですが非常に種類が多くて同定が困難なことでも知られます。植物ではもっとも多くの種を含む属らしく、世界で2000種とも言われています。
スゲ属の植物も一般には冬には枯れてしまうのですが、常緑のスゲがあって、冬にも枯れないので、この『カンスゲ(寒菅)』と言う名があります。
カンスゲ、ミヤマカンスゲ、オクノカンスゲ、ヒメカンスゲなどの種がありますが、特に小さいカンスゲを意味するため『ヒメカンスゲ』
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『カンスゲ(寒菅)』の名の由来は冬でも常緑のスゲから来ています。
スゲの語源ははっきりしていなくて、一説には叢生する葉が毛のように細く、全体が鳥の巣のように見えるので『巣毛スゲ』他にも清清しいの意味からスゲになったとする説も有ります。

スゲ属の花は雄花と雌花が別になっていて、雄花は鱗片一枚に雄しべが包まれているだけのもので、雌花は、雌しべが果包(かほう)という袋に包まれているのが特徴で、その外側に一枚の鱗片があります。
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このカンスゲは,冴えないボサボサ頭みたいのが…雄花です(笑)。
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で…雌花は…と言えば、茎の下のほうから出ている細いのが雌花。
夏も近づく 八十八夜 野にも山にも若葉が茂る あれに見えるは 茶摘じゃないか 茜たすきにスゲの笠でお馴染みの『茶摘歌』ですが、この茶摘歌にあるようにスゲ(菅)は、笠や菅細工に使われてきた馴染みの深い植物として知られています。

カヤツリグサ科でもこのスゲ属は、熱帯から寒帯、湿原から野原まで幅広く生育地があり、種々さまざまで、日本にも200種程度が生育していて主に湿地に生えるものが多いです。
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地下茎があり、多年草で、いたる所に生えている植物ですが花が目立たず、近年では菅細工などには利用価値も低い為に雑草として扱われ顧みられることもないですね。まぁ、観察する人も殆どいないでしょう(笑)。
◇科名:蚊帳吊草(かやつりぐさ)科 ◇属名:スゲ属(Carex(カレックス)=Cladium mariscus(ヒトモトススキの近似種)の古代ラテン名。又はその鋭い葉に起因したギリシャ語の「keirein=切る」を語源とする説もあります。「shear-grass」 の英名があります。 ◇学名:Carex conica morrowii(conicus=円錐形の / morrowii=採集家「モロー」の」)
『カンスゲ』や『オクノカンスゲ』『ミヤマカンスゲ』は『ヒメカンスゲ』より大きいのですが…それぞれ花だけ見ても区別は出来ないが、葉の形が多少異なるようです。
カヤツリグサ科の植物は野の花としてはほとんど目立たたないですね。殆ど雑草扱いですが、この春の『カンスゲ』と、夏の『カンガレイ』や、『ホタルイ』『ヒメカヤツリグサ』は、カヤツリグサ科の中では目立つ花と言えます。
『エナシヒゴクサ(柄無肥後草)』 『カンガレイ』 『タヌキラン』(←記事)スゲ属ではありませんがこんなのも→『白鷺菅』シラサギカヤツリ