カラタチ(枳殻)

久しぶりにこの花を見ました。ミカン科の落葉低木で中国名は『枸橘(きこく)』といいます。
「からたちの 垣にも春は 待たれけり」今泉恒丸
春に葉が出る前に3-4cmほどの5弁の白い花を咲かせます。
からたち 枸橘(枳)
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◇科名:蜜柑科 ◇属名:カラタチ属(Poncirus=ポンシラス。フランス語の「poncire=ミカンの一種の名前」が語源 ◇学名:Poncirus trifoliata(trifoliata=三葉の)
葉は互生で3小葉の複葉です。小葉は周囲に細かい鋸状歯があり、葉柄には翼があります。
学名のtrifoliataの三枚の葉の意は、この複葉から。
https://other-blogs.c.yimg.jp/res/blog-9b-4b/chameleon_arms/folder/1281489/25/50343825/img_1?1455408329.jpg
この葉はアゲハチョウの幼虫が好んで食べので知られていて、オイラが子供の頃はこの葉の裏にアゲハの卵を探したりしましたね。つーか、あの頃は今と違って、カラタチの垣根がアチコチにあった。
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カラタチの名前は『唐橘(からたちばな)』の略で、中国や朝鮮から渡来した橘と言う意味になります。
ただし別名が『百両』の名前で知られる『唐橘』とは当然ですが全く別。
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花のあとにはピンポン球くらいの3-4cmの球形で緑色の実をつけます。
秋には熟して黄色くなります。但し、果実には種が多いうえに酸味と苦味が強いため食用にはなりません。花と果実には英名の『オレンジジャスミン』の名の通り芳香があります。
果実は果実酒の材料として使われる。未成熟の果実を乾燥させたものは『枳実(きじつ)』と呼ばれる生薬。健胃作用や利尿作用、去痰作用があるとされますが、枳実をカラタチとしない説もあります。
病気に強いことや、早く結実期に達することなどの利点があるので、日本ではウンシュウミカンなどの柑橘類を栽培するときに台木として使われます。
但し、ユズやナツミカンの台木にくらべると寿命が短いという欠点があります。
因みに台木を使う野菜や果実としては『スイカ』←(台木は夕顔です)や、『キュウリ』←(台木は専用のカボチャです)がありますね。
*因みに…オレンジとカラタチの細胞融合による雑種に『オレタチ』(←クリック)というのがあります。
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鋭い刺があることから外敵の侵入を防ぐ目的で、昔は生垣によく使われていました。オイラがアゲハの卵を探したのも生け垣。しかし現在ではこの刺が嫌われカラタチの生垣は減少しましたね。
意外な事に万葉集には一首しか詠まれていません。しかも何とも品のない歌なんですよ(笑)とても訳を載せる気になれませんが…(爆)

原文: 枳 蕀原苅除曽氣 倉将立 屎遠麻礼 櫛造刀自 作者:忌部首(いむべのおび)

「からたちと茨(うばら)刈り除け(そ)倉建てむ屎(くそ)遠くまれ櫛造る刀自(とじ)
で…そのとんでもない(笑)この歌の意味ですが…
からたちと茨(うばら)を刈り除いて倉を建てよう。屎は離れたところでしなよ、櫛を作るお姉ちゃん…と言った訳になるのですが。。。。。。。。
忌部首←ちゃんとした人なのですが(笑)
この一首が最後ではチョット悲しいので…
カラタチの歌を…♪
天野月子 『枳』