ダンコウバイとサンシュユ

早春、葉より先 に葉腋に黄色の小花を散形に密生します。

ダンコウバイ	檀香梅

花がウメに似ていて､材が『ビャクダン(檀香)』のように香りがあるためこの名があります。
材は細工物や仏像､美術品などに使われる事が多いようです。

ビャクダンと同じように材によい香りがあるため「白檀材」または「檀香(ビャクダンの漢名)」と呼ばれます。

◇科名：楠(クスノキ)科( Lauraceae)　◇属名：クロモジ属 Lindera(はスウェーデンの植物学者Johann Linder(1676～1723)に因んだもの。　◇学名：Lindera obtusiloba(obtusilobus＝鈍頭浅裂の､裂片の頭が鈍い)

　
花が黄色なので別名が『ウコンバナ(欝金花)』。

雌雄異株です。ちょっと見た目は『山茱萸(サンシュユ)』に似ています。

葉は卵 円形で普通上半が浅く三裂して、裏面に淡褐色の長毛があります。

其の『山茱萸(サンシュユ)』は今が満開の時期ですね。サンシュユは水木科の花です。

サンシュユ	山茱萸

◇科名：ミズキ(水木)科　◇属名：ミズキ属(Cornusコーナス＝ラテン語の｢cornu＝角｣が語源。材質が堅いことから) ◇学名：Cornus officinalis(officinalis＝薬用の、薬効のある)

『茱萸』は普通ぐみと読むことが多いのですが、この植物の場合はしゅゆと読みます。＊『ナツグミ(夏茱萸)』因みにしゅゆと読む場合は『サンシュユ(山茱萸)』

花は見た目にはよく似ていますが、木肌を見れば間違えることはないと思います。

サンシュユはこのように木肌が裂けてきます。

花は近づいてよく見れば、『ダンコウバイ』とは違って4弁花の小さな花です。

秋には赤い実が付きます→サンシュユの実
※『ひえつき節』に歌われているのは『山椒』だと思われていますが、正確には分からないらしい。
「山椒」と解するのと「山茱萸」（さんしゅゆ）なのか２説があるそうですが…一応、日向地方では「山椒」のことを「さんしゅ」とも発音するそうです。
庭の山椒（さんしゅう）の木 鳴る鈴かけてヨーホイ 鈴の鳴る時ゃ 出ておじゃれヨー
鈴の鳴る時ゃ と言うて出ましょヨーホイ 駒に水くりょと 言うて出ましょヨー
おまや平家の 公達（きんだち）流れヨーホイ おまや追討の 那須の末ヨー

『サンシュユ』の他にも、今の時期に咲く黄色の木花では、見た目によく似ている花に同じ属の『クロモジ』と『アブラチャン』がありますね。
『ダンコウバイ』は『アブラチャン』よりは枝が大ぶりで､葉は楕円形で葉先が浅く三つに割れます。
こちらは以前に別ブログで記事アップした『クロモジ』の花。

クロモジ	黒文字

よく似てるでしょ。見た目にはとてもよく似ているので間違えやすいかもしれません。
『クロモジ(黒文字)』は葉や樹皮に芳香があり、和菓子 などに添えられる、高級爪楊枝を作るので有名ですよね。新しい枝の樹皮は緑色なのですが､ 次第に黒褐色になります。樹皮の模様が文字のように見えるところから、黒文字の和名が 付いています。

◇科名：楠(クスノキ)科( Lauraceae)　◇属名：クロモジ属 Lindera(はスウェーデンの植物学者Johann Linder(1676～1723)に因んだもの。　◇学名：Lindera umbellata(umbellata＝散形花序の)

詳しい説明は…別ブログの以前の記事で(笑)→『クロモジとアブラチャンとサンシュユ』
コッチが『アブラチャン』

◇科名：楠(クスノキ)科( Lauraceae)　◇属名：クロモジ属 Lindera(はスウェーデンの植物学者Johann Linder(1676～1723)に因んだもの)　◇学名：Parabenzoin praec

アブラチャンは、材、実ともに油を多く含んでいて､昔はこの油を灯火用に使ったらしい。アブラチャンのチャン(瀝青)は中国語の｢瀝青(れきせい)｣油の一部を指した言葉を指します。つまり木全体に油が多いことが名前の由来。チャンは中国語読みの発音です。
同じような見た目に『テンダイウヤク』と言うのもある。