辛夷の実

初春の花の時期になるとTVなどでも取り上げられると思いますが、実の時はまず見向きもされないですね(笑)。
しかし元々この花の名前は、この集合果がこぶ状で、こぶしに似ているために名付けられたのです。
君が門こぶし花さくうす月夜 中勘助 
コブシ 辛夷
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この「辛夷」の漢字は、モクレンの中国名です。名前の由来からすれば…本来ならば『拳』の漢字を当てるべきですよね~。上の画像はかなり熟してきた時の画像ですが、最初はこんな感じです。
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集合果は無毛です。熟すに従って、種子が膨らんでくると、このように不規則なコブ状になります。
別名は『ヤマアララギ』『コブシハジカミ』『ヤマアララギ』はコブシの古名です。
「婦(いも)と我(あれ)といるさの山の―手な取り触れそや」〈催馬楽・婦と我〉
古い名前はコブシハジカミでした。*コブシが果実の形が拳のよう・またはつぼみの形が赤子の拳に似ること、ハジカミは、種子をかむとハジカミ=ショウガの辛い味がします。そのうちハジカミがとれてコブシになりました。
タムシバ』の花のつぼみを辛夷と言い鎮痛、鎮静作用があるので漢方では頭痛,高血圧症などの治療に用います。
因みに『タムシバ』と言うのは、コブシ に似てるのですが、コブシにはある花の根元に1枚の葉は、ありません。葉のように見えるのは、花のツボミつつんでいたガク片です。辛夷よりも開花時期は遅いです。『キタコブシ』にも葉はありませんね。
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降りしきる雪をとどめず辛夷咲く 渡辺水巴  雉子一羽起ちてこぶしの夜明けかな 加舎白雄(1738─91)
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9~10月に熟した種子がこうなります。
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心皮が裂開し、中から赤色の種子が出てkます。この種子は、白い糸でつり下がります。
◇科名:モクレン科 ◇属名:モクレン属(Magnolia) ◇学名:Magnolia kobus(kobus=コブシ)
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樹木としての用途は、建築・家具・器具・楽器材です。★薬効★頭痛、歯痛、鼻疾患(生薬名【辛夷(しんい)】開花直前の蕾を干したもの)。漢方では芳香薬として用います。
葉は、互生について、葉身は広倒卵形。表面は無毛ですが、裏面は脈上に微毛があります。縁は波状、あるいは全縁です。

辛夷の花は、早春の山野で咲き、遠くから目立つため、農家は春の作業の目安としました。
『指標植物』というものがありますね。これは、ある地域の特性を示したり、環境条件の変化によって花や実の付け方を変えたり、そして開花や紅葉の遅速で気候や季節の推移変動を知らせたりする指標となる植物を指します。
この辛夷も指標植物の一つです。これが咲けば「春」ということになり、昔の人は田圃を耕したり種を蒔いたりしたのです。
そこで辛夷のことを『田打桜』とか『種蒔桜』と呼んだりもします。
東京では3月頃にに開花しますね。展葉の前に、枝先に芳香のある白い花が咲きます。
花弁は6枚で、基部は紅色を帯びなす。萼片は3枚で小さく、外側に軟毛が密生します。早落性。
花の下に、葉が1枚つくのがコブシの特徴。春を呼ぶ辛夷の花。
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コチラは四手辛夷です。
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ピンクもある
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