ヤブジラミ

日本全土の平地から亜高山まで生育地が広く、いたるところで見かけることができる野草です。
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名前は藪に生え、種子にカギ毛があり、動物や人の衣服にシラミのようにつくことから。
ヤブジラミ 藪虱
同じセリ科のヤブニンジン やヤマゼリ に良く似るヤブジラミ
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このさえない和名(笑)の由来は、藪に生え、鉤状に曲がった刺毛によって果実が衣服につきやすいようすをシラミにたとえたものです。
草丈は30センチから70センチくらいになります。
◇科名:セリ科 ◇属名:ヤブジラミ属(Torilis=フランスの自然科学者アダムソンが用いた語で「曖昧な」という意味 ◇学名:Torilis japonica(japonica=日本の)
衣服にひっつきやすい植物の事を[ヒッツキムシ]と呼びますが、その一つという事になりますね。
茎は緑色で毛が生えていて、上部でよく枝分かれします。
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葉は2-3回羽状複葉で、互い違いに生える互生で、小葉は細かく切れ込みます。
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茎先に複数の枝が出て、先に1個つずつ花がつく『散形花序』を組み合わせて花を咲かせます。
小さな白い5弁花がたくさんつきます。近寄ってジックリ見ればカワイイ花なのですが…名前が虱(シラミ)では可哀想ですね。
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花径は5ミリくらいしかありません。花弁の先は浅く2つに裂けます。花の後にできる実は紫褐色をした楕円形で鉤状の毛に被われ、前述したように人や動物にひっついて運ばれます。
果実を乾したものは生薬で『蛇牀子(じゃしょうし)』と呼ばれます。消炎・強壮剤になります。虱と名前にはついてますが役に立つンですよ(笑)。まぁ、普段このヒッツキムシを集める人はいないでしょうが。。。。。。
漢名は『窃衣』
俳句にも詠まれているのですが…
里々や野らはのらとて藪虱    一茶
そっくりな仲間に『オヤブジラミ』と言うのがあります。『オヤブジラミ』の場合は花期は春です。
よき衣によろこびつける草虱    虚子