キヌタソウ(砧草)

キヌタ(砧)とは、布を打って軟らかく艶を出すのに用いる木または石の台とのことです。アイロンのない時代、洗濯した布を生乾きの状態で台にのせ、棒や槌でたたいて柔らかくしたり、皺をのばすための道具。キヌイタの略。
名前は、柄のついた実の形がこれに似ることからついています。
キヌタソウ 砧草
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『ヨツバムグラ』(←記事) や、『クルマムグラ』『ヤエムグラ』 と同じ仲間で、葉が4枚の『ヨツバムグラ』に良く似ていますが、コチラは葉がかなり大きい。
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葉っぱは4枚輪生で、それぞれに3本のはっきりした筋が入っています。

これが『ヨツバムグラ』(←記事)
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因みに→『ハナヤエムグラ』は【ハナヤエムグラ属】です。
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『ハナヤエムグラ』(記事)

花は『ヨツバムグラ』似ていますが葉っぱが全然違うので判別は簡単です。『ハナヤエムグラ』は花色も違いますからね。
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◇科名:アカネ科 ◇属名:ヤエムグラ属(Galium=ギリシャ語で「gala=乳」から出た言葉。チーズを作る際に牛乳を凝固させるのに使うことから名づけられたもの 学名:Galium kinuta(kinuta=砧)
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因みに…江戸時代頃までは多摩川で布をさらし、衣叩きをしていたようで、多摩川にほど近い世田谷区砧の地名もここから来たものだと思われます。古代から多摩川流域では、麻や絹の生産が盛んで、奈良時代頃からは天皇に納める「調(=みつぎ)の布」が生産されるようになりました。オイラの散歩コースである『調布』もその生産地の一つで、市名以外でも『布田ふだ』『染地そめち』などの地名が現在も残っています。万葉集には…
原文:多麻河泊尓 左良須弖豆久利 佐良左良尓 奈仁曽許能兒乃 己許太可奈之伎 作者:不明
多摩川(たまかは)に さらす手作り さらさらに なにぞこの児の ここだ愛(かな)しき
意味: 多摩川に布をさらすよ、流れはさらさらとして。。あぁ、さらさらに(いまさら言うまでも無いが)どうしてこの児がとてもかわいいのでしょうか。
*「手作り」は手織りの麻布で、布を白くするために、川で洗って日に干す作業のこと
この歌碑がオイラの散歩コースにあります。※狛江市中和泉4-14「万葉歌碑」は、文明2(1805)年、多摩川のほとりに建立されましたが、文政12(1829)年の洪水で流されてしまいました。現在建っているのは大正12(1923)年に再建されたものです。