ネジバナも出てきたよ

初夏に顔を出す野草としてお馴染みです。
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ネジバナ 捩花
日当たりのよい草地に生え、高さは10~20センチ、大きく伸びれば30センチくらいになります。
他の背が高い草に紛れて咲いちゃうと目立たなくなっちゃいますが、綺麗な色なのでちゃんと捜せば見つけやすい花ですよね。好きな花なので見つけると嬉しくなります。
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仕事場にも植えてあるのですが、まだ全然顔を出してきませんね。この場所は、日当たりのいい公園だったので早かったのかもしれません。
場所によっては8月ごろまで、螺旋状にねじれた穂状花序をだして、綺麗なピンク色から紅紫色の花を横向きに咲かせます。
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◇科名:蘭科 ◇属名:ネジバナ属(Spiranthes=スピランセスは、ギリシャ語の「speira(螺旋)+anthos(花)が語源。 ◇学名:Spiranthes sinensis (Pers.) Ames var. amoena(M.Bieb.)H.Hara (=「sinensis」は中国の「amoena」は愛すべき、人に好かれると言う意味
たまに白花の品種もあるのですが、この場所では見かけませんでした。
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草苗とる 手もとや昔 しのぶ摺り  奥の細道・しのぶの里の章に」松尾芭蕉
涼しさの 昔をかたれ 忍ぶずり   正岡子規
別名は『もじずり(捩摺)』と呼ばれます。『信夫捩摺(しのぶもじずり)』という衣類の、かすれたような細かい「もじり模様」が『ネジバナ』のねじれて連なる状態に似ていることからそう呼ばれたと、いわれているそうです。
百人一首で知られる『源融(河原左大臣)』の歌と共にある花です。
「みちのくの しのぶもじずり誰ゆえに 乱れそめにし 我ならなくに」905年
意>私の心は乱れているが、それは他のだれでもない、あなたのせいです。
※「みちのくのしのぶもじずり」は「乱れ」にかかる「序詞」。融(とおる)は、嵯峨天皇の皇子です。
この同じ歌が古今和歌集では「みだれておもう 我ならなくに」になってます。巻14 724
この歌を本歌として『伊勢物語』に
春日野の 若紫の摺り衣 しのぶのみだれ かぎり知られず 新古今和歌集在原業平 994段>
しのぶ山 しのびて通す道もがな 人の心の奥も見るべし  15段
「その男、―の狩衣(かりぎぬ)をなむ着たりける」〈伊勢・一〉
*【信夫】は地名。古代奥州信夫郡。昭和43年に合併により現在の福島県福島市になっています。【信夫もじずり】は絹織物のことで、その模様が、もじれて(もつれて)乱れたようであるところから【信夫捩摺(忍摺】と都でよばれました。染め方は、みだれ模様のある巨石の上に白絹を置き、忍草(しぼくさ)を摺って、模様をうつし出し、緑に染めたたといわれています。
忍草(しぼくさ)と言うのは2種類あって、ひとつは『シノブグサ』または『イハシノブ』というもので、もうひとつが、ノキシノブ、クサホヤ、ホヤと称するものです。しのぶずりとは、これら二種類の忍草を摺ったものです。『ノキシノブ』(←サイト)。*シノブグサ ウラボシ科の常緑多年草、園芸植物、薬用植物 ◇学名:Lepisorus thunbergianus。他に露草、藍の葉なども染料として使われたらしいです。大変高価な絹織物で、京の都で『もじずり絹布』としてもてはやされたらしいのですが、江戸時代初期に姿を消してしまったようです。
現在見られないのは残念ですね~。
忍草を捩ったとされる石臼が『文知摺石』として「福島市・山口町字文知摺」の地に柵囲いされ残っているそうです。