卯の花

 
北海道に桜が咲き始めたらしいですが、東京地方はこの花が咲いていよいよ季節的には初夏です。
卯の花』つまり『ウツギ(空木)』のことですね。『ガクウツギ』を記事アップしたばかりですが、他にもいろんな種があります。
取り敢えず順に並べてみましょう。
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『アマギベニウツギ』
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『ニシキウツギ』
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ハコネウツギ
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『コゴメウツギ』
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ヒメウツギ
因みに『空木(卯の花)』は…
空木は花期は5-7月で、枝先に円錐花序をつけ、多くの白い花を咲かせます。普通、花弁は5枚で細長いですが、八重咲きなどもあります。'''茎が中空のため空木(うつぎ)と呼ばれますが、または卯月(旧暦4月)に咲く花の意もあるようです。
最初に画像を並べましたが…いろいろな科にわたっていますね。
◇科名:雪の下科 ウツギ属(Deutzia(ドイツァ)hunberg の後継者でオランダの Johan van der Deutz に対して1781年に捧げられたもの  学名:Deutzia crenata(crenata : 円鋸歯状の)
別名は『雪見草』古い日本の国では、エジプトをはじめとした外国のように、星や太陽を観測して種や苗を植えると言うよりは、比較的に、四季がはっきりとした特徴を持つ日本列島では、古くから季節ごとに、花が咲いたり、終わったりすることで、いろいろな農法の種まきや収穫の合図としていたことからこのように歌にも詠まれていたのでしょう。

ウツギ属に属する種の他にも、何々ウツギという名の木は数多く、花の美しいものや、葉や見かけがウツギに似たものなどがあります。アジサイ科のものはバイカウツギ』『ノリウツギスイカズラ科はタニウツギ』『ニシキウツギ』『ツクバネウツギ』『ハコネウツギドクウツギ科で『ドクウツギ』。フジウツギ科の『フジウツギ』。ミツバウツギ科の『ミツバウツギ』。バラ科『コゴメウツギ』 他にも『房フジ空木(ブッドレア)』(←記事)『サラサウツギ』(←記事)『サクラウツギ』(←記事)『丸葉空木』(←記事)『トウフジウツギ』(←記事)
一応【夏は来ぬ】の歌詞を…
①卯の花の におう垣根に 時鳥(ほととぎす) 早も来鳴きて 忍音もらす 夏は来ぬ
※「におう」は、色が美しく映えると言う意味で、卯の花の匂いという意味ではありません。空木にはそもそも、強い香りはないですね。「忍音」と言うのは、ホトトギスの鳴き始め(初鳴き)の声の事です。 
②五月雨の そそぐ山田に 早乙女が 裳裾ぬらして 玉苗植うる 夏は来ぬ
※平安時代の【栄華物語】の「五月雨に 裳裾濡らして植うる田を 君が千歳のみまくさにせむ」の部分をモチーフした歌詞。
③橘の かおる軒ばの 窓ちかく 蛍とびかい おこたり諌(いさ)むる 夏は来ぬ
※「蛍雪の功」を踏まえて作られた歌詞。勉学や鍛錬の日課を怠けることを蛍が忠告することです。つまり…日本版の【蛍の光】の歌詞ですね。 
④楝(おうち)散る 川辺の宿の 門遠く 水鶏(くいな)声して 夕月涼しき 夏は来ぬ
※楝(おうち)は『センダン(栴檀)』のことですね。クイナ(水鶏)は夏鳥の『ヒクイナ』のこと。 
⑤五月闇 蛍とびかい 水鶏(くいな)鳴き 卯の花さきて 早苗植えわたす 夏は来ぬ 
※この5番目の歌詞は1番から4番の歌詞を集めたようになっていますよね。蛍が飛び交って、水鶏が鳴いてる横で、卯の花が咲いて、そして早乙女が苗を植えているというむちゃぶりな歌詞(笑)。この歌は曲が出来た後に歌詞をつけたらしいので、歌詞の内容がバラエティに富んでるようですね(笑)。
『タチバナ(橘)』(←記事)
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あ…因みに『楝(おうち)=栴檀(センダン)』はコチラでございます。
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『センダン(栴檀)』(←記事)
万葉集から珠尓奴久 安布知乎宅尓 宇恵多良婆 夜麻霍公鳥 可礼受許武可聞  作者: 大伴書持(おおとものふみもち)
玉(たま)に貫(ぬ)く 楝(あふち)を家(いへ)に 植(う)ゑたらば 山霍公鳥(やまほととぎす) 離(か)れず来むかも
意味: 楝(あふち)を家に植えたら、山霍公鳥(やまほととぎす)はいつもやってくるでしょうか

それでは一つずつ…
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天城紅空木 アマギベニウツギ
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『紅空木(タニウツギ)』(←以前の記事)

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二色空木 ニシキウツギ
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箱根空木 ハコネウツギ
『ハコネウツギ』(←以前の記事)

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小米空木 コゴメウツギ
『コゴメウツギ』と『ツクバネウツギ』(←以前の記事)
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姫空木 ヒメウツギ
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『ヒメウツギ』(←以前の記事)
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オカリナで…
 

因みに…『おから』の事を『卯の花』と言いますが…。『おから』は絞りかすの意で、茶殻の「がら」などと同源の「から」に丁寧語の「御」をつけたものです。所謂、女房言葉のひとつですね。では、なぜ卯の花と言うかと言えば、これは「から」が空に通じるとして、縁起を担いで、白いことから卯の花なのです。主に関東の呼び方ですがね。そして関西では、包丁を使わず切らずに食べられるところから雪花菜(きらず)などと言いかえることもあるようです。なので、「おから」自体も「雪花菜」の字をあてるのです。