李も桃も…ナシ

バラ科の花の季節ですね。筆頭は桜と言う事になりますが♪
今回はこの花を…
まずは梨です。と言っても『中国なし*(P. bretschneideri』『洋なし(西洋なし*P. communis)』ではなく、所謂『和なし(日本なし*Pyrus pyrifolia var. culta)』です。食用として世界中で栽培されていますが。日本語で単に「梨」と言うと通常はこのうちの和なしを指します。
ナシ(梨)Pearバラ科ナシ属の約20品種の落葉高木の総称です。梨は種から育てると、花のバラと同様に1~2年の間はトゲがつきます。梨という呼び名ですが、この「ナシ」は「無し」通じるということから、「ありのみ」(有りの実)と呼ばれることもあるようです。
'''わが国に自生するニホンヤマナシから改良された。日本梨を大きくわけると肌の赤い赤梨と肌の青い青梨に分けられる。
青梨の代表は二十世紀で、赤梨の代表は幸水豊水、新高などです。'''

こちらは、『今村秋(いまむらあき)』という品種の花です。
現在ナシの品種で多いのは青ナシと呼ばれる「二十世紀」と、赤ナシと呼ばれる「長十郎」ですね。
イメージ 4
江戸時代には栽培されていた赤梨の日本固有の在来品種で、『新高』や『愛宕』と言う品種はこの今村秋を品種改良したものです。果実は変わった形というか洋なしのような、お尻の部分が出っ張っているのが特徴で、赤梨では大型の品種になります。高知県に古い大木が数多く残っていることから、高知が原産とされています。
イメージ 5
在来品種は栽培農家も数が少なく、そのほとんどが地元で消費されることもあり、あまり流通せず、入手が困難です。
イメージ 6
味はやや甘めで汁は少なめという事です。

コチラは『大古河』と言う品種の花。
イメージ 7

イメージ 8

そして『類産梨』と言う品種
イメージ 9

イメージ 10

イメージ 11
因みに『二十世紀ナシ』の原産地は千葉県ですが、さらに細かく突き詰めていくと【千葉県のごみ捨て場】が原産地です。
明治31年、千葉県の松戸に住んでいた『松戸覚之助』と言う人物が、ごみ捨て場を見ると1本のナシの木がひょろひょろと生えていたのです。そのナシの木を自宅に持ち帰って改良をして、それまでのナシと全く違う品種を開発してしまったのです。
実がなったのが1897年と言うことで、20世紀直前だったと言うのでこの名前が付きました
現在でも、松戸の郷土資料館にこの時の原木が保管されています。

『長十郎ナシ』は、川崎大師近くで『当麻長十郎 』と言う人が経営しているナシ園で突然変異種として誕生したのでこの名前が付けられました。
長十郎は、長らくナシの代表格として盛んに生産されるようになって、一時期は全国の栽培面積の8割を長十郎が占めたほどです。20世紀前半は二十世紀と長十郎が生産量の大半を占めていましたが、1959年には『幸水』1965年には『新水』そして、1972年に『豊水』が出てきます。この3品種をまとめて「三水」と呼ばれて普及しだします。現在では長十郎の生産はかなり少なくなっています。
長十郎は、やや扁球形で中型で多汁で甘みも強い梨です。明治二年頃神奈川県の当麻長十郎の梨園で偶然見つけられ、その発見者の名前から長十郎と命名された。梨園は川崎大師のそばにあったので、大師境内の石碑に長十郎の由来がしるされています。梨の強敵黒斑病に強いため急激に広まりましたが、どちらかと言えば…肉質が堅くて粗く、品質もばらつきが多くて、日持ちも良くないと言うのが欠点です。また産地により品質が異なる事が知られ、寒冷地帯のものは暖地産のものより味が淡泊です。所謂赤梨の代表品種でしたが、現在では『幸水』『豊水』などにに取って代わられてきていますね。
幸水(こうすい)』は8月中旬~下旬の収穫です。果肉は緻密で軟らかく多汁、甘味が多く酸味が少ないNode、現在は梨の代表的な品種として定着しています。
豊水(ほうすい)』は、9月中旬~下旬に収穫されますね。肉質は軟らかく多汁で、少し酸味はありますが、甘味とのバランスがとれているので、梨の代表的な品種として定着しています。
じつは、交配に使われた品種が不明だったこの豊水の"両親゙が2003年DNA鑑定の結果「幸水」と「イ-33」という品種である可能性が極めて高いと果樹研究所(茨城県つくば市)が正式に発表しました。

「桃栗3年柿8年、ユズは9年で花ざかり、梅はすいとて13年」と言うのが有名ですが…梨の場合は種子から出発した実生苗の場合、5から6年以上の期間が必要になります。前出の二十世紀交配種の場合、台木に接いだ苗木の場合3年目から、接ぎ木の場合翌年から果実をならせることができるそうです。これは二十世紀交配種が、自家受粉しないためで、他の品種の花粉で人工授粉して果実をならせるんですね。
したがって、梨の果実から種を取り、植え、育て、果実が実ったとしても…それは親梨とは違った梨なのです。

で…今度はモモです。
コチラが『すもも 万左衞門』と言う品種の花です。
イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

コチラは『オハツモモ』
イメージ 12

イメージ 13

『薬缶やかん』
イメージ 14

イメージ 15

ところで… 「桃 栗 3年、柿8年…」という言葉…あの後は?
実は幾つかあってどれが正しい…とは言えないのですが。。。。。
「桃 栗 3年、柿8年、梅は酸い酸い13年、柚子は遅くて18年、林檎ニコニコ25年、銀杏のばかやろ三十年」
他にも…「柚は9年でなりかかる、梨の大馬鹿18年」と言われてるのもあります。
梨以外は確かに種をまいてから実が収穫できるまで、これくらいの歳月が必要となるンですね。梨はゴロの良さからか18年などと言われるが、柿と同じ8年ぐらいで実がなり始めます。
実際は、しかし果実は大体、接ぎ木で増やすので、桃や栗は2年目、柿や梨は3年目ぐらいからなり始めますが、収穫を目的に栽培する場合は木を充分に育てて、少し遅らせるようにします。
なお、果樹を種からでなく接ぎ木で増やすと言うのは、種をまいても親木の性質を100%伝わらない為で、接ぎ木ならば100%親木と同じ性質の木が育ちます。
 
まあ「桃栗三年…」の意味は大体お判りと思います。桃と栗は芽生えてから 三年、柿は八年で実を 結ぶということ。
言葉の意味は『資本 を投じてから相当の年月を経なければ、 それ相応の利益を得る ことはできない』とい う意。
各地で言われていて、この下 に続くのは地域で違ってきます。
「柚(ゆず)は九年 」、「柚は遅くて十三 年」、「梅は酸いとて十三年」、「梅は 酸い酸い十八年」、
枇杷(びわ)は九年で なりかねる」、「枇杷は九年で登りかねる 梅は酸い酸い十三年」 、「柚のばかめは十八 年」などがあります。