ナンバンギセル

花の姿を南蛮渡来の煙管(キセル)に見立てたのが名の由来です。
葉のわきから花柄を立て、その先にパイプに似た筒形で薄紫色の花を横向きにつけます。
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ナンバンギセル南蛮煙管
葉は小さな鱗片状です。去年の記事は少し画像がハッキリしませんでしたm(_ _)mので、改めてアップしました。
花冠の長さは3センチくらいで、先は浅く5つに裂けます。 f:id:ChameleonArms221:20190916104744j:image
花の中には黄色い球のような雌蘂の柱頭があり、その下に雄蘂が4本あります。花のつけ根には舟形の萼があります。
薄(ススキ)や茗荷(ミョウガ)などの根に寄生します。 茎はほとんど地上に出ません。f:id:ChameleonArms221:20190916104842j:image
葉緑体をもたないため自活できず、ススキのほか、チガヤ(茅)や、サトウキビなどに寄生することによってのみ成長します。アジアの温帯から熱帯に3、4種、日本に2種が分布しています。f:id:ChameleonArms221:20190916105754j:image
◇科名:浜靫(はまうつぼ)科 ◇属名:ナンバンギセル属(Aeginetia=7世紀のギリシャの医師アエギネタ(P.Aegineta)から ◇学名:Aeginetia indica(indica=インドの)
花がうなだれて咲き、その形が物思いげにみえることから別名を『オモイグサ(思草)』ともいいます。

万葉集ナンバンギセルが出てくるのはこの一首だけです。
 原文: 道邊之 乎花我下之 思草 今更尓 何物可将念
  作者:不明
よみ: 道の辺(へ)の、尾花(をばな)が下の、思ひ草、今さらさらに、何をか思はむ
意味: 道端の尾花の元に咲いている思ひ草のように、いまさら、何を思い悩んだりしましょう。
※うつむいたように咲いている思ひ草が、ひたむきな恋を連想させるのでしょうね。

尾花(をばな)、つまりススキが風になびく音を「さらさら」と表現し「いまさら」とつなげています。つまり、あなたのことだけ想っています。と言う意味になりますね。f:id:ChameleonArms221:20190916135134j:image
花の後にできる実は卵球形で、果皮が肉質で液汁が多い液果です。中に小さな種子がたくさん詰まっています。