クサボケ

名の由来は『ボケ(木瓜)』より小型なので、『クサボケ(草木瓜)』。
木瓜 クサボケ
別名は『シドミ』『ノボケ』『コボケ』など。果実の形から『地梨(じなし)』とも呼ばれます。
4~5月ころに、日の当たる山林や野原、土手などに花を咲かせます。鮮紅色で直径3センチほどの花で、目立つ。これがクサボケの花。しかしコレはこの一輪だけですが、先月中頃に咲いていたのです。
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クサボケは、落葉性の低木です。高さが40センチから、丈の高いもので100センチメートルくらいになります。
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クサボケの幹は、基部からよく枝分かれし、下の方の枝は横になって地面についています。
短い枝はそこで成長がとまって、このように鋭い刺になります。
判りますか?右上側にあるのが棘のような枝。
◇科名:薔薇科 ◇属名:ボケ属(Chaenomeles=カエノメレス。ギリシャ語の「chaino=開ける」+「melon=リンゴ」が語源。裂けたリンゴと言う意味 ◇学名:Chaenomeles japonica(japonica=日本の)
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葉は短枝に輪状につくか、長枝に互生しています。長さ2~5センチで、倒卵形で先が丸く、葉縁は鋸歯状になります。長枝につく葉は腎臓形の托葉が目立ちます。
花は前年の枝の葉の脇につき、地面に近い下部の枝の腋に3~5個束生します。
クサボケの花は「雌性花(両性花)」と「雄性花が」あって1本の木に混生してつきます。
雄花は5弁花で円形、色は橙赤色の花を、普通は4~5月頃に咲かせます。径は1.5センチ程です。
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雌花は長楕円形で7~10ミリ程の大きさです。花柱は15~17ミリで、雌性花は子房が太く花柱が長いようです。
画像が無いのですが、秋になる果実は黄緑色に熟します。球形で約3センチ程の大きさになり、黄熟してリンゴに似た芳香があり、酢っぱい味がします。
『草木瓜』は『木瓜』と比較して名前の通り背(樹高)が低く、枝にトゲがいっぱいあるのが特徴です。
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実はボケよりは小さく、木瓜の実には縦にスジと言うか彫りが入ってますが、クサボケの実にはありません。
※『草木瓜』は古くには『飯沼慾斎(いいぬまよくさい/1783~?)』が著し(あらわし)た『草木図説(そうもくずせつ)・木部』に載っているらしいです。
その中では「全花と不全花の二つを具するものの如し。然るや又啓蒙(*小野蘭山(おのらんざん)の『本草綱目啓蒙(ほんぞうこうもくけいもう)』には、雌雄異幹の如く説けり」と記述されているそうですが、100年ほど前の学者がすでに、雌性花(=両性花)と雄性花のことを説明しています。