センブリ

苦い生薬の一つで『当薬』と言う名前で知られています。
イメージ 2
センブリ 千振
センブリは、ドクダミゲンノショウコなどとともに日本の民間薬の代表的なものです。
センブリの名前の由来は、千回振り出しても(煎じても)まだ苦味が残っている、ということからつきました。花、葉、茎、根はすべてかむと苦く、全草を薬用に用います。
日本全土の日当たりと、少し湿り気味で、水はけがよい山野に自生する2年草です。
イメージ 3
センブリは初夏のころには、高さが10~20センチになり、茎は四角で普通根元から数本に分かれて生えています。茎の太さ1~2ミリです。
葉は細長く対生し、形は線形。大きさは長さ1~3.5センチくらいで、巾は1~3ミリ程です。葉縁は全縁です。
イメージ 4
◇科名:リンドウ科 ◇属名:センブリ属(Swertia=1552年に生まれたオランダの植物学者Emanuel Swert に因んだもの ◇学名:Swertia japonica
発芽した芽がそのまま冬をこして、翌年の秋に開花します。
生薬名が『当薬(とうやく)』です。
『当薬dried Swertia japonica(used as a traditional medicine)』はまさに字の如し。当(まさ)に薬(くすり)の意味からきたもので、良く効くことをあらわしています。 「良薬は口に苦し」とはセンブリを指すと言っても過言ではない表現です。
因みに苦味の成分は「スエルチアマリン」「ゲンチオピクロサイド」「アマロゲンチン」などと呼ばれる苦味配糖体が含まれているためです。
薬草には苦味を持つものが多くありますが一般的には苦味健胃薬として用います。
イメージ 1
花は枝先に円錐花序をつくります。色は白で縦に紫の線があります。
花冠は5深裂し、裂片は長さ11~15ミリ程の大きさです。雄しべ5、雌しべ1です。花冠裂片の基部には、2個の密腺があり、それには毛状の付属物があります。

果実は朔果(さくか)で花冠よりも少し長く、披針形をしています。
センブリの仲間は、ユーラシア、アフリカ、マダガスカルに約100種類が知られていますが、センブリを薬用に用いるのは日本とヒマラヤ地方の他には、センブリの仲間が中国で10種類程度が薬用に用いられています。

以前に『ムラサキセンブリ』『はなはませんぶり/花浜千振』を記事にしています。
*センブリは日本の民間薬の代表ですが、古くはノミやシラミを殺す殺虫剤として使われていました。江戸時代になり『遠藤元理(げんり)』が『本草弁疑(ほんぞうべんぎ)~1681」に始めて「腹痛の和方に合するには、此当薬を用べきなり」と記述しています。また江戸末期の『飯沼慾斎(よくさい)』の『草木図説(そうもくずせつ)~1856』には、センブリを「・・・邦人採テ腹痛ヲ治シ、又ヨク虫ヲ殺ス・・・」という記述があると言うことです。