アカヤジオウ

この花の根が漢方の生薬の『ジオウ(地黄)』になります。
中国北部からモンゴル原産。日本では平安時代に栽培されていたという記録があるほど歴史が古いのです。
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アカヤジオウ 赤矢地黄
'''ジオウ(地黄)は根が黄色いことからで、アカヤ(赤矢)は花の形が矢に似ることから。
根(地下茎)は太く、地中を横に走っています。赤褐色をしていると、説明されていることがありますが、正確には橙黄色です。

日本では、江戸時代に栽培が始まったと言われます。しかし中国から伝わってきたのは更に古く、900年代の書物「延喜式」にも記載があるようです。
アカヤジオウは過去、奈良県内でも広く栽培されていたとされてるのですが、流通が減少し、ほとんど見られることはなくなったようです。今では橿原市内に地黄町としてその名が残っているに過ぎないとか。

6~7月ごろになると10~30センチほどの花茎をのばし、その先に数個の淡紅紫色の唇形花を開きます。花は横向きで長さ約3センチの筒状で、花冠は鐘状で、先が浅く5つに裂けます。
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葉は根際から生え少数で楕円形で互生につきます。縁に粗い鋸歯があります。葉の表面には、ちりめん状のしわがあり、全草に腺毛が密生しています。
◇科名:ゴマノハグサ科 ジオウ属(Rehmannia=ロシア皇帝の侍医だった「レーマン(J. Rehmann)の名から ◇学名:Rehmannia glutinosa var. purpurea(glutinosa=ねばついた /purpurea=紫色の)
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花の後にできる実はさく果(*熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)です。

※赤みがあってアカヤジオウとよく似て全体がやや大型で花穂も長く、総状花序となる『カイケイジオウ』があります。根が肥大化する点を除いて大きな違いはありません。花が淡黄色のものは『シロヤジオウ』。『フクチヤマジオウ』と言うのもあるようですが、アカヤジオウとカイケイジオウの混合種で、武田薬品によって遺伝子組み換えによる品種改良された品種です。

※薬用には肥厚した根が用いられ、生のものを鮮(セン)地黄、陰干ししたものを生(ショウ)地黄、天日干ししたものを乾地黄、酒で蒸して乾燥したものを熟地黄と呼びます。成分としてはカタルポール、アクテオサイド、アウクビンなどが含まれており、補血、強壮、止血などを目的に、乾地黄は八味地黄丸(はちみじおうがん)など、熟地黄は十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)など一般用漢方製剤294処方中の39処方に配合されています。