オキナグサ(翁草)

自然のもは滅多に見かけることが無くなりました。
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花後に、種子のまわりにできる白い毛を翁の頭に見立てた名前です。
古くから日本の野山に自している野草で、江戸時代に多くの園芸品種が育成されたという事だったのですが、最近は保護が必要なほど自生しているものは見かけることがありませんね。
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茎先に1つずつ花をつけます。花の咲く時期には丈は低いのですが、花の後に伸びてきます。釣鐘状で下向きに咲くので、写真に撮りづらい花です(笑)。
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キンポウゲ科の花の特徴で、花弁はなく6枚の萼片が花弁のようにつきます。 
外側は長くて白い毛で被われています。内側は暗い赤紫色。 中にはたくさんの雄蘂と雌蘂が詰まっています。
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◇科名:キンポウゲ科 ◇属名:オキナグサ属(Pulsatilla=ラテン語の「pulso(鳴る)」の縮小形。花の形を鐘にたとえて名づけられたもの 学名:Pulsatilla cernua(cernua は「前屈した」
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葉は根際から生え、2回羽状複葉。長い柄があり、 小葉は深く裂けます。 根際から生える葉や茎には長くて白い毛が密に生えます。茎につく葉には柄はありません。
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花の後にできる実は、熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるそう果。
球状に集まったたくさんの種子がつき、 種子の先の1つ1つに長い花柱が伸びて、灰白色の羽毛が密に生えます。
和名の由来は、実の様子を老人の白髪に見立てたものですが、 古くは「ねつこぐさ」の名で万葉集にも詠まれています。万葉集では一首登場していますが、実はねつこ草が何の花なのかは良く分かっていないのですね。この『翁草(おきなぐさ)』の他に『捩(ねじ)花』という説もあります。
芝付乃 御宇良佐伎奈流 根都古具佐 安比見受安良婆 安礼古非米夜母 作者:不明
芝付の 御宇良崎(みうらさき)なるねつこ草、あひ見ずあらば、吾(あれ)恋ひめやも
意味:逢うことがなかったなら、私はこんなに恋に苦しむことはなかっただろうのに

根を乾かしたものを生薬で白頭翁(はくとうおう)と呼び、解熱剤などに用いられます。
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日本のオキナグサは絶滅の危険が増大しており、環境省レッドリスト(2007)では、絶滅危惧II類(VU)に登録されています。
コチラは去年の画像ですが…
花後はこんな感じになります。これがオキナグサの名前の由来です。
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地域によっては別名で『ビンタボ』などと呼ばれたりします。

ところで、園芸店で売られているものは、『セイヨウオキナグサ( 学名:Pulsatilla vulgaris)』です。
因みに『ベニバナオキナグサ』と呼ばれてるのは『ボタンイチゲ』つまり『アネモネ』です。