トラノオスズカケ

山地の林縁などに自生する多年草で、名前の由来は花序をトラノオ(虎の尾)と山伏の衣装のスズカケ(鈴懸)にたとえたものです。
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トラノオスズカケ 虎の尾鈴掛
静岡県と、四国の南部から九州にかけて分布し、林の中などに生えるのですが、絶滅危惧種です。
同じ仲間で岐阜県徳島県だけにあるスズカケソウ、紀伊半島の一部にあるキノクニスズカケも絶滅危惧種に指定されています。
因みに植物では、『コデマリ*Spiraea cantoniensis』(←記事)の別称が『鈴掛』で『プラタナス*Platanus orientalis』も『鈴掛の木』(←記事)と呼ばれています。
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◇科名:ゴマノハグサ科 ◇属名:クガイソウ属(Veronicastrum=ラテン語の「Veronica=クワガタソウ属」+「astrum=似ている」から ◇学名:Veronicastrum axillare(axillare =「葉のつけ根につく」という意味)
学名にあるように、葉の脇に短い円錐花序(*枝分かれして全体が円錐状に見えます)を出して、紅紫色の花をたくさんつけます。
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花冠は長さ4~5ミリで、先は4つに深く裂けます。
花期は8月~9月です。 
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オヤ?お客さんが来ていますね。
草丈は70~150センチくらいで、茎には毛はなく、蔓状に伸びます。
葉は卵形で、互い違いに生える互生。葉の先は尖って、縁には三角状の鋸歯があります。
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雄蘂は2本で花から飛び出す形で、雌蘂は1本。
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四国や九州地域が数少ない自生地ですが、東京近辺では『つくば植物園』や、目黒の『自然教育園』で見ることが出来ます。目黒の『国立科学博物館付属自然教育園』では御料地時代の1932年(昭和7年)に牧野富太郎によって発見され、1949年の開園の頃に絶えたとされていましたが、2008年に50年ぶりに開花が確認され、それから毎年咲いています。
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花後に、朔果が出来ます。(*熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)

因みに、コチラが『スズカケソウ』
記事はコチラで→スズカケソウ

花の形が違うのが分かりますね。